学生時代は運動を続けていた人はいっぱいいると思いますが、社会人になって運動をパタッとやめてしまった人も少なくないでしょう。わたしもその一人ですが、大学病院や派遣先の病院での激務ののち、開業して今後は経営のストレスで体の不調が続きました。そこでストレッチを始めたら、けっこういい感じになって何とかがんばって続けていくことができました。
それ以来、仕事上の興味もかねていろいろなエクササイズ・ストレッチの本を読んできました。最近読んだ本を紹介してみます。
最近出版された本です。絵がきれいでとてもわかりやすい。動的ストレッチ(ダイナミック・ストレッチ)とはからだを大きく動かしてストレッチをする方法で、この世界では今はやりのテクニックです。ところがいろいろ読んでわかったのは、昔ながらの体操のほとんどはダイナミック・ストレッチだということです。誰もが知っているラジオ体操第1・第2もそうです。はずみをつけてからだを動かすのを当時はストレッチと呼ばず、健康体操としてとらえていたのですが、毎日続けると体が柔らかくなるのを多くの人が実感したのではないでしょうか。
ほかにも静的なストレッチや体幹筋トレのことまで書かれていて、基本的なトレーニングが網羅されています。からだをもう一回よみがえらせたいと思っている人にとって好適な一冊です。
これはアメリカの本です。ダイナミック・ストレッチの解説が中心で、ぴちぴちのお姉さんがいろいろな動作の実演を行っています。写真がわかりやすく、動作もシンプルですから、英語が苦手!という人でも見ればわかると思います。
この本、そして前の本を読みながら(やっぱり若い人向きだなあ)と思いました。30代あたりから体はしだいに固くなっていきます。ストレッチを続けていったら加齢によるからだの固さをどの程度防げるのか興味があるところですが、中高年ではじめてストレッチをする人たちにはいささかハードルが高い気がします。
そこでこの本の登場です。著者のアンドリアさんは現在76歳の女性で、ご主人を亡くした後、肺気腫とクローン病による体の不調を克服するためにヨガを始めました。しだいに健康が回復し、今度はヨガ・ストレッチの効果を多くの人たちに指導し、この本を書きました。
ヨガというとアクロバティックな動きを想像しますが、この本ではもっとおだやかで、ゆっくりと呼吸を意識した運動を指導しています。これなら年配の人たちも安心してできそうです。彼女の主催するサード・エイジ・ヨガのビデオを紹介します。ご本人が実演されているようです。
ダイナミックとは激しくとか荒々しくとかを意味するのではありません。若い人は若いなりに、年配者は年配者なりに。楽しく続けられるのがいちばんだいじ。長く続ければ効果を実感できるはずです。
一般的なストレッチと比べて、ダイナミックストレッチは何が優れていて、どんな人に向いているのか。たとえばアキレス腱や膝蓋腱損傷のリハビリにどう生かしていけばいいのか。もう少しつっこんだことが知りたかったのですが、まだまだよくわかっていないようです。実地が先で、理論は後からついてくる。これからに期待しましょう。