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厚底シューズについて

 ナイキの厚底シューズが今話題です。箱根駅伝や都道府県対抗駅伝など長距離レースで記録更新が続出していますが、選手の足元を見ると、みんなピンク色!似ているけれど左右が色違いのやつもナイキのニューモデルなので、パッと目には9割がたがベーパーフライ・ネクストを履いています。

 厚底シューズそのものはちょっと前からランニングシューズではトレンドになっていて、わたしもホカオネオネの厚底を履いていました。
 見た目をうらぎる軽さにびっくり、走ってみるとクッションが効いて足にかかる衝撃が柔らかくなるのを実感しました。どちらかというとあまり足の速くないランナー(失礼!)がマラソンやウルトラマラソンを走るときに疲労が少ないということで人気があります。
 このナイキのシューズは厚底クッションの中にさらに特殊なばね板(カーボンプレート)をはさむことで反発力を増し、一流ランナーが記録狙いで走るための「武器」になったわけです。

 もともとナイキは1970年代のジョギングブームのころにワッフルソールを開発し、業界に旋風をひきおこしたメーカーですから、厚底はナイキの遺伝子といってよいかもしれません。
 しかし、厚底だと誰でも走れてしまうから、かえって体に悪いという意見がだんだんと強まってきました。靴にたよった走り方を続けると走り方のくせが固定されて、使い過ぎからくるからだの故障(骨折や筋・腱の損傷)をおこしてしまう。だからもう一度見直して、もっと靴に頼らない走りを磨くことが必要だ。そこで薄底シューズの再評価・ベアフットランニングの流れが加速しました。

 ということで、今度はミニマリスト・シューズがブームになっていきます。この延長にベアフット・ランニング(裸足で走ること)が生まれ、熱烈な信奉者が生まれました。

ミニマリスト・シューズの代表ファイブフィンガー

 このころのナイキはわりとおとなしくて、ナイキ・フリーなどユニークな製品を生み出したものの、ほかのメーカーが極端な薄底シューズを続々発表するなかであまり目立つ動きを見せていませんでした。
 ベイパーフライなど最近ナイキが売り出した厚底シューズについて、会社にしてみれば「やってやったぜ!!」と思っていることでしょう。

 さて、世界陸連が厚底シューズを容認したと報道がありました。読んでみると、東京オリンピックの時までは基本的に規制しないけれど、近い将来に何らかの規制は必要と考えている印象を持ちました。

 世界陸連のセバスチャン・コー会長は、1980年代に中距離で活躍したイギリスの名選手で、オリンピック金メダルを5回授けられた方です。そのあと英国議会の議員となり男爵となった人ですから、スポーツマインドを失わず、なおかつバランス感覚にすぐれた人なのでしょう。
 どんなスポーツにもルールがあり、実際に参加している選手たちが納得できるルール上の調整・変更は必要と思います。のろのろランナーのわたしは、ぽかーんと見ているだけですが、どうなるのかなーと気になります。

セバスチャン・コー選手の動画です。

Sebastian Coe 1500m Zurich 1984
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